「マイクロサーバを追いかけて、山形」

SoftwareDesign誌、好評連載の「マイクロサーバを追いかけて」という連載を御存知ですか? 最初の連載、少し間が開いての「続 マイクロサーバを追いかけて」を合わせて1年半ほど続いているコーナであり、私が小型計算機に目覚めるに至った罪深き連載なのです。
その連載を担当する安田さんより「ハイテックMicroPCを取材したいのですが、同行しませんか?」のお誘い。 感動、感激。いちもにもなく「行きます」「いや、行かせてください」と即返事。かくしてサラリーマン竹丸は会社に休みの届けを出し、三度 山形を訪れることになるのでした (^_^)

安田さんといえば「日本マイクロサーバ愛好者連合」や「Cobaltユーザー会」であまりにも有名な方、小型計算機好きのカリスマ(笑) そんな方が、山形に、いやハイテックにいる。ついでに、私もいる・・。なんと感動的なできごとではないですか〜。会社休んで良かった(^_^)

対する、ハイテック社長 土屋さんはTakemaru.com初登場。多分、今回はWEB上に載せても問題ないはず(^_^;; いや正しくは嫌がられたのだけど、雑誌には載ってしまうわけだし、だったらば先に *私が* 紹介したいですよと半ば強制的に御登場をお願いしました。

安田さんのコンピュータやネットワークへの知識は相当豊かで深いものがあるということは、お会いしてお話をせていただいてすぐに分かりました。それだけじゃなく、センスが良い方だと感じましたね、技術のあるべき姿を見通せる知識、直感を持つ方。そして、一方でマニアックなこだわりを持つ楽しい方(^_^)

土屋さんは今まで何回かお会いしておりましたが、安田さんのインタビューを脇で聞いてて知らないことばかり、驚いちゃいました。失敗の中で、製造を知り、人と出会い、もの作りをマネージメントできる嗅覚を身につけた経営者というイメージです。いやいや、それプラスもの作りが好きなやんちゃな男の子・・でしょうか(笑)

ハイテックはそもそも小型計算機な会社ではありませんでした(現在でも違うんですが ^_^;)
現在秋葉原で有名なPCショップと同時、あるいはそれ以前に山形で起業。まだPCパーツが米国から発信されていた頃、486機を国内向けに販売したのが始まり。他の会社が大型ショップ化をたどる一方、ハイテックは別な戦略をとります。

PCを販売していて「サーバが高い」と聞けばサーバの製造販売に注力し「ファイアウォールが高い」と聞けばファイアウォールを自社開発する。ニッチな市場を高い機動力で開拓。公の機関、大手企業を顧客として持つ一方、*予算がまだ出ていない* 研究分野にも、前倒しで積極的に参加(笑) そんな会社聞いたことないですよ(笑)
上記基板はファイアウォール製品を作るために台湾Evalue社と開発したもの。型番の"HTF-7390"の意味は High Tech Firewallの略と、開発関係者が好きな番号を一桁づつ出し合って組み合わせただけとか(笑)
左の写真。左奥にファイアウォール製品のSecurityBoxとそのOEM製品の2段重ね。その手前の黒い箱がアプライアンスサーバのMicroServer 。手前のオレンジ色がファンレス化された"BENIBANA(紅花)"。その隣のシルバーの箱はその車載取り付け版(?)。
「試作品ですか?」という安田さんに「いいえ、そのまま出そうと思いまして」と土屋さん。こ、これが市販されるのかと、安田さん大ウケ。「何に使えるかまだわからないんですが」と土屋さんがさらに追い打ち。市販品なんだか製品なんだか微妙な小型計算機達に安田さんだけでなく、私も大ウケ。

この写真じゃ伝わらない微妙なハンドメイド感がたまらなく、ビシビシっとクるのでした。それもそのはず、ケースは知り合いの板金屋に発注。色は知り合いの塗装屋さんに調合、塗装してもらうのだそう。 全く同じ色は出ないのでロットごとに色が異なるのだとか(笑)

PCパーツ取り扱いの長い経験、実績で作られた海外のベンダとの信頼関係。そして地元山形の製造業とのモノ作りリレイションシップ。それが、ハイテックの高い機動力の源。土屋さんが前職で養った製造の目利き。製造の最初から最後まで見通せる、把握できることが強みです。

ハイテックが小型計算機の道に入ったのは、自社製のファイアウォールを作るべくEvalueと共同開発したのが最初。結局 小型サーバとして最初に製品化されたのはアプライアンスサーバ MicroServer だったのですが、その後 SecurityBoxとして結実。コンシューマ向け製品ではなく、それまで事業の中心にあったサーバ販売の次のステップ、高付加価値商品、売りきりではないメンテナンスを含むビジネスモデルの実現に向けた製品群でした。

私が自分の自前サーバを立ち上げたくて小型計算機を探していたのは丁度その頃。共通の知り合いを通じて「MicroServerをベアボーンで売ってください」とお願いしたのが、私のハイテックとの出合いでした(^_^) それがMicroPC GeodeとなりEdenとなり今回のような *楽しいこと* になった。出合いは出合いを呼んで、楽しさは楽しさを呼びますね。

その時にゆずっていただいた試作バージョンMicroPCは現在 Takemaru.comのサーバとして元気に活躍中です。

楽しさのあまりに話はつきず、取材時間を大きくオーバーし14時過ぎの昼食となりました。京都からいらっしゃる安田さんには、山形の郷土料理でお迎えしたい(^_^) 土屋さんとの相談で 山形県河北町「谷地」へ向かいました。一寸亭(ちょっとてい)本店の「肉そば」、鶏の乗った冷たい蕎麦はお気に召していただけたでしょうか。

今回は、小型計算機を通してなんとも楽しい出合いを経験することができました。安田さんの手によって記事になり、もっと多くの皆さんの目にとまるでしょう。さて、次はどんな楽しいことが起きるんでしょう。ワクワクしますね (^_^)