南部関

2/11、吾妻嶺さんを見学させていただいた後に「南部関 (川村酒造店)」さんによらせていただくことができました。お声をかけてくださった盛岡の芳本酒店さん、快諾していただけました川村さん、ありがとうございました。
南部関は岩手県の石鳥谷、南部杜氏の里で知られるこの土地にあります。 吾妻嶺さんからは車で20分程度しか離れていませんが、少し暖かい印象です。芳本さんの「どーも」という元気な暖かいお出迎えと、少しかしこまった風の川村さんのご挨拶、アットホームな雰囲気で始まりました。
写真前列左が川村さん、後列中央が芳本さんです。
蔵内は広くて綺麗。うかがったときには作業はされていませんでしたが、道具も整理されており、とても清々しい印象です。
石高は500石ということですが、蔵の規模的にはもう少し大きい印象、私の知るお蔵さんの中では中規模位の大きさ。
麹室で枯らされていた麹を少しいただく。栗の香りとよく言うけれど、私にはちょっとわからなかった(^_^;

タンクに上がって仕込みの様子を見る。漂う吟醸香。白濁したお酒の表面には泡がぷくぷくと沸いている。 米は「吟ぎんが」。「使い初めて数年、ようやく分かってきました。使い方など手探りですし、米自身も少し難しい。」とのこと。
「こんなの買っちゃいましてねぇ〜、これだけで数千石造れちゃうらしんです」と苦笑い。好奇心旺盛な先代が買っちゃったという装置。今は仕込み水を冷却するだけに活躍中とか(^_^;;

サーマルタンクに案内していただくと、そこには杜氏さんがいらっしゃった。「自転車通勤してくるんです」さすがは南部杜氏の里! 私の母ちゃんの実家が遠くないこともあり、言葉がとても優しく聞こえる。川村さんもドキドキするほどに気さくに何でもしゃべっちゃう杜氏さんでした(笑)

酒を作り初めて33,4年、なんと私が生まれた頃にはすでにお酒に携わっていたのだそう。そう考えると感慨深いものがあります・・「そうか、そんなになるか」っとお話が止まらない杜氏さん(^_^) とても楽しいおじちゃんです。

*少しだけ* もろみを味見。 もろみからでき具合を判断できない私は、全てを味見してとりあえずフムフムうなずくだけ(笑)岩手酵母、山形酵母、長野酵母いろいろ試されている様子です。

作ったばかりの冷蔵室です、と嬉しそうに本当に大きな冷蔵室を紹介する川村さん。この入口では重機が入りませんねのツッこみに「手伝い頼むよ」と芳本さんに話が振られる(笑)手積みガンバレ、芳本さん(笑)

最後にできたてを利かせていただく。「吟ぎんが+3」「吟ぎんが+5」「山田錦」共に山形酵母とのこと。一昨年の芳本さんのお酒を楽しむ会で「旨い」と思ってから事ある度にチェックをしていたお酒、去年は少し違う路線の味でしたので、ちょっとドキドキしながらすすります。
「吟ぎんが+3」、あっ、これ。一昨年に初めて出会った味がフラッシュバック。そうだよ、こんな感じ。きっとお米も酵母も違うのだろうけど(^_^; この雰囲気。酸を予感させる柔らかな吟醸香と口に入ってからの含み香の心地よさ、広がり、柔らかくくだけるさばけのよさは私の「南部関」。不思議なことに、飲む度、温度が上がるとさらに変わる印象。素濾過だけして生原酒のままいただきたいと思いました。
「吟ぎんが+5」+3にくらべ明らかにドライ感、揮発性の辛さを感じる。私にはちょっと辛すぎ。
「山田錦」これは間違いなく旨い。吟ぎんが+3の雰囲気をベースに、いわゆる山田錦の旨みから来る深み、落ち着き、幅などの印象を加えたイメージ。春は素濾過して生原酒、秋は少しだけ割り水、火入れしたものをいただいてみたい。
# 写真はアイドル犬 PAN です。思ってたより大きくてびっくり。車ひっかかれました(笑)

他の参加者は興味があまりないであろう普通酒、私は見逃しませんでしたよ(笑)「土地柄、普通酒が出るんです。旨い普通酒を作りたい」という気持ち、出ていたと思います。普通酒ですから、激ウマではありません。他の3つと比べるから良くない。冷えていながら暴れていた辛みと旨み成分、刺さる刺激。常温付近まで近づけて、普通酒と思っていただく。市販時には割り水することでしょう。ウム。一般に売られている普通酒に比べかなりイケる(^-^) 「地の酒」作りには普通酒は不可欠です。自動車メーカもF1やスーパーカーだけではダメ、大衆車があるからこそ。 限られた範囲でどれだけうまいものができるか、ぜひ頑張っていただきたい分野です。

川村さんは40代。若き蔵元にあるような追い詰められたような気合いや気負いというものは感じられません。 気さくな杜氏さん、蔵人さんと和気あいあいというイメージ。しかし「自分の蔵を盛り上げることもですが、岩手県として見た場合どうやって盛り上げていくべきか。南部美人、月の輪、吾妻嶺など若い蔵元たちと何かできないか」という少し広い視野で考えられている様子。組合などの話にもなりました。
一昨年と去年のお酒の雰囲気の変化についてうかがうと「試行錯誤でした、悩みました」とのこと。お米、酵母の組み合わせ、仕込み方いろいろ勉強されていたそう。最後に「でも、見えてきましたよ(笑)」と今後がさらに楽しみな一言。

じゃじゃ麺といえば「白龍(パイロン)」。南部関さんからは全然近場ではないし、仙台とは別方向になりますが、芳本酒屋さんによるついでに行ってみました。せっかく岩手まで来たんです、芳本さんにいかずしてどうするっ! とやや暴走気味(笑)
プロの *じゃじゃ師* 芳本さんに初めて正式な食べ方を教わりました。生にんにくは躊躇せずにのせるべし、ラー油も適宜かけるべし、おもいっきりかき混ぜるべし(笑) 少し皿に味噌がついたまま、玉子をおとし、チータンタンをいただく。ラー油も少々。これぞ正道。
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