なんと、Takemaru.comがメディアを越えて、雑誌に初進出(^_^)

仙台タウン情報で有名なプレスアート社の大人のプレミアムマガジン「Kappo 仙台闊歩」の創刊2号の日本酒特集内のミニコーナ「みちのく地酒 極私的セレクション」のお手伝いをすることができました。

Takemaru.comを読みましたと編集の方からメイルをいただいたのは10月16日。「創刊2号の日本酒特集に選者4人でテーマに沿ってお酒を選んでもらうコーナがあるので、その一人として参加しませんか」とオファーをいただく。イチもニもなく「やらせてください!」と答える私。締め切りまで1週間もないぞ(^_^)

いただいた条件は、

  • 東北の地酒
  • 料理との特集なのでお料理に合わせやすいとよいかも
  • 独自のテーマに基づいて5本

かしこまりました、早速 いってみましょうっ! ワクワクドキドキ、苦悩の1週間の始まりです。
どうせ紹介するのですからしっかり紹介したいですね。Takemaru.com内の記事を頼りに味の記憶を引きづりだし、できるだけ秋冬の味の表現にしようと、薄謝を期待しつつお酒を買いに行く。「取材だよ、取材」っと嫁さんには言っておく(^_^) しかたないね、と笑う嫁さんに感謝。

他の3人の選者は、雑誌の編集長、酒販店の仕入れ担当者、今年の利き酒選手権準優勝者とのこと。負っけられません〜っん(笑) 4人で1つのコーナだから・・相手の出方が気になってしょうがありません(^_^;;

そして出来上がった原稿がこれ。

テーマ
お料理との組み合わせが楽しめ、いろいろな飲み方が楽しめるお酒。 それぞれ特徴のある酒質の紹介、氷を入れたり温めたりという楽しみ方の提案。 日本酒のひろがりを知り、楽しむ。
お願い
日本酒の豊かさと幅の広さ、奥深さを熱っぽく語れればと思います。 以下の私の原稿はあえて蔵元さんのネタには触れず、味の説明と楽しみ方の提案で まとめています。できれば蔵元さんの話題にも触れられればいっそう興味深い記事 になると思います。ライターの方にその旨お伝えください。
宮城県 新澤 愛宕の松 純米大吟醸 無濾過 八反
料理を邪魔しない、会話を邪魔しない、お酒ではなく人を中心に考えたお酒。微かな立香は優しく、すっきりとまとまった旨味に微かな酸が見える・・まだまだつぼみ。会話の盛り上がりと共に、空気に触れ温度があがり、この酒本来の優しい旨味、甘味、ふくらみが花咲く。口中にたなびき、さばけよい。極ぬる燗をつけるのも一興。輪郭はくずれずそのままに、隠れていた味が顔を出す。食中酒という、贅沢。
蔵元に関する参考記事(Takemaru.comより):
http://www.takemaru.com/nihonshu/atago/index.html
http://www.takemaru.com/nihonshu/atago_live/index.html
去年より若者4人で造りを始めた情熱蔵です。
山形県 竹の露 白露垂珠 吊雫原酒 吟醸 改良信交 55
立香は穏やか。柔らかで奥のある米の旨味、まるい甘味、ほんのり果実味。上品ではあるが都会的ではない。芳醇な旨味が口一杯に広がったと思うとゆっくりとたなびき、後味がすうっと引く感じが清々しく小気味よい。清涼感すら感じる。お米の丸い甘さ、旨味、優しさを大切に丁寧にしぼったしずく酒の原酒そのまま。芳醇で豊かな旨味吟醸。お米の旨さを感じよう。
宮城県 阿部勘 於茂多加男山 純米吟醸 掛搾り中汲 山田錦・蔵の華
いやみがない優しい吟醸香はとても穏やか。ゆっくりとすすると繊細で優しい旨味が口中にふくらみ、かたい桃、梨のような含香がたなびく。さわやか。余韻は長く、微かに白粥のような穀類の後味が見える。綺麗だが洗練ではなく、逆にその優しさが心地よい。昨今の旨酒のような、派手な香りや強い旨味のような明確なアピールはない。淡麗旨口、家でゆっくりするには飲み疲れしないお酒がよい。
蔵元に関する参考記事(Takemaru.comより):
http://www.takemaru.com/nihonshu/abekan/index.html
http://www.takemaru.com/nihonshu/abekan_kura/index.html
南部杜氏が、伝統を守るだけではなく、酒造りの正常進化の道を模索するお蔵。
秋田県 刈穂 やまとしずく 山廃純米
乳性、酸を予感させる熟した香り。口に含めばドッシリとフルボディ。蜜、藁のような熟した味わい、甘露に酸の芯が通る。線が太く幅を持ち長くたなびく。コクがあり辛口でキレもよい。冷やしても美味しいが、あたためると甘味が増しやわらかにふくらみいっそう良い。暖房が強めの部屋ならば氷を1つ、2つ浮かべてロックで飲むのも楽しい。和食なら味の濃いもの、洋食や中華等まで一緒に楽しめそう。とにかく懐の広いお酒。
山形県 出羽桜 出羽桜 本醸造 3年古酒 枯山水
温かいお酒は体にだけでなく、心にも優しい。旨い燗酒を知っているとお酒の楽しみがいっそう広がる。いつものぐい呑みにとくとく注いで、お湯を張ったドンブリにぽちゃん。吟醸酒で有名なお蔵が造る古酒は淡熟。口に含めば滑らかに流れ込み、口中にてふわっと豊かに広がる。枯れた優しい甘味と旨味がじんわり染み入る。旨い燗酒は優しい時間を与えてくれる。


まず、好きな東北のお酒をリストアップしてみたんですね。でも5本にはまとめられない(^_^; 「竹丸好きな東北の5本」というテーマじゃおさまりきれない。そこでいろいろテーマを考えて、無理矢理5本にしました。

  • 私が実際に飲んだことがあって、「好きだ」といえるもの。
  • お料理に合わせやすいもの。
  • 冷や、常温、燗、ロックと飲む温度にバリエーションが出せるもの。
  • 酒米/造りにバリエーションをもたせてみよう。
  • ラベル等、見た目が良いもの。
  • お料理に合わせやすいということで、このシーズン味がとても濃くなっている無濾過生のお酒ははずしてみよう。
  • 有名なところは他の人とかぶるかもしれないから、避けてみようかな。

結果、お蔵さんの思惑とは違うお酒ばかりになってしまい、蔵元さんや編集の方に御迷惑をおかけしてしまいました。PBや販路限定酒が5本中3本もあるんですね(^_^; 蔵元さんも現在売り出し中のお酒があるわけで、また雑誌的には入手がしやすいお酒の方が喜ばれるだろうというお考えがあっての事。結局、御理解いただき私の意見を通していただけました。ありがとうございます。

テーマが 「竹丸好きな東北の5本」であれば入っていたであろうお酒でも、今回のテーマでは抜けているお酒、お蔵さん。そこを紹介できなかったのがとても残念。次回は、次回こそはそちらを是非っ! (あるのか ^_^;)

こんな楽しい経験をくださった、Kappoの編集の方にはとても感謝しています。わがままセレクションを許してくださった蔵元さんにも感謝です。