第九回 蔵元と日本酒を楽しむ会

今年も 仙台でもっとも歴史があり、規模の大きい、お酒を楽しむ会がやってまいりました。やっぱりこの季節、この会ははずせません(^_^) 主催は仙台吟遊会。私の参加もこれで3回目(1回目/2回目)となりますが、今回はすごいですね。会場も仙台サンプラザのホールにお引っ越し。普通ここはコンサートやる場所ですよ(^_^; しかも参加人数は600名を越えたのだとか・・(^_^;;
蔵数28、酒数120種以上とこちらも桁外れ。 とてもじゃないですが全部は回れません(^_^;;この位 上回ってくれているとかえってあきらめがつきますね(笑) 作戦変更、作戦変更・・っと。

この会、私にとってはお酒だけが目的ではありません。盛岡や鶴岡、遠くからいらっしゃる人たちとの交流の場でもあったりするのです。「お酒の会」友だち、酒屋さん、こういう席でお会いできる楽しみ。私の場合、こういうのもお酒の味の一つなのです(^_^)
吟遊会会長の挨拶に続いて蔵元紹介。会場は暗くなり、音楽とともにピンスッポットに浮かぶ各ブース。ちょっと派手めなオープニングです。
「乾杯〜っ」
私はこだわりの「東北泉」スタート(^_^) 2年前にこの会を紹介してくださった藤原さんがいらっしゃるブースです。やっぱりここからスタートでなければイケません。ここの杜氏さんの名前を冠する出品酒「佐々木勝雄」は酔っぱらう前に是非味わいたい。仕込み水と一緒に味わって「あぁ水の味がする」と言って一息ついて、余裕のスタートを切る・・ あぁ! 藤原さん、それ *勝っちゃん* じゃなーい(^_^; 今年は「雄町 大吟醸生原酒」からのスタートとなりました(笑)
お料理が弁当であることもこの会の特徴ですね。 お料理に並ぶ必要もない名案なのです。
だがしかし、これが逆に難易度の高いテクニカルな会としている部分もあります(笑) 基本的に立席なわけで、お弁当持ったら酒がもてず・・なんて人たちも良く見かけます。私は食べずに持ち帰る派ですが、今年は会が始まる前に食べるという大技炸裂な人たちもいらっしゃいました(笑) この難局をどう乗り切るかが腕の見せどころです。
さてと、飲みに回りますか〜っと勝手知ったる風にふるまっていたのですが、いつもと雰囲気が違う、勝手が違う。お酒を注いでもらい、蔵元さんとお話をし、写真を撮らせていただく・・という事ができない。写真なんて全く撮れないし、お話すらままならない・・あれれ(^_^;;
参加者600名の会、恐るべしっ! 見よこの会場を! 今までの酒の会の取材方法がまったくできないではないか〜っ。
とにかく人が多くて、注いでもらって飲むのがやっとの世界。
今回は蔵元さんとお酒と写真は無し。思いきった作戦に出ました(^_^;; そんな写真を期待されていた方、ごめんなさい。
盛岡の芳本酒屋さんは「南部美人」ブースのお手伝いです。南部美人の蔵元、久慈さんも強烈な個性をお持ちですが、芳本さんも楽しい方です。ブースでは普通の係員を装いますが、さて、装えていたんでしょうか(笑)

右の写真は「飛露喜」の蔵元さん。初めてお会いした時はちょうど2年前。 その後、お酒造りが軌道にのるどころか直後に大ブレイク! 一気にスターとなりました。
再び「東北泉」に戻って、こっそり写真をと思ったのですが、遠くにいたにもかかわらず気がついてポーズをとってくれた藤原さん(写真は拡大したもの)、手前の女性が蔵元さん。

古川の酒屋、和屋さんも毎年 写真撮影のお手伝い。あれ、今年のカメラはやけに小さいですね〜 (^_^)

はるばる鶴岡からいらっしゃった鈴木さん。私と鈴木さんは毎年一回、この会でだけお会いできるお友達です(^_^) 聞けば聞くほどに垂涎のお酒コレクションをお持ちのよう。ずずず。

おっと、抽選会が始まりました。
何っ!? 芳賀さんは「達磨正宗」当っていたって!? なぜ 小林さんが引き換えに・・(笑) っと、周りにはいつもの連中が。お酒もグルグル回って愉快愉快(写真はなし)

最後に「カネタケ青木酒店」さんの旦那さんが御挨拶。主催の仙台吟遊会も青木さんのお客さんですし、今回いらっしゃった蔵元さんも青木さんでお取り引きのある蔵元さんです。うーん、すごい。
私の手元にある96年発行の「日本酒銘鑑」にはすでに吟遊会の活動が紹介されていています。今回の大きな会に参加していながらその8年前はどのような会だったのだろうかと思いをはせます。来年はちょうど第十回。さて、どのような会になるのでしょうか、今から楽しみです(^_^)

最後にお約束。会の終わりにハッピを着せてもらいました。当然「東北泉」です。

さ〜て、お待たせいたしました。ここから本番(^_^; 私が楽しんだお酒たちです。 回った順番そのままに紹介。

  • 東北泉 佐々木勝雄 出品酒斗瓶違い / 雄町 大吟醸 生原酒 / 瑠璃色の海 純米吟醸
    とても柔らかな水を元に作る、淡く旨い酒の印象。 佐々木勝雄は微かに熟したポッと灯る旨味を持った、水晶のような味。水の味がする端麗旨口。冷えている時には研ぎすまされて綺麗、温くなれば微かにブドウやリンゴの味がするやわらかな旨酒。佐々木勝雄の山田錦に対して、大吟醸 生原酒と 瑠璃色の海は共に雄町。厚ぼったい旨味と若干の苦さが特徴。大吟醸 生原酒はその雄町キャラクタが特に強い。原酒であり生の、強さがあった。それが今年の乾杯酒(^_^;;

  • 南部美人 斗瓶囲い雫酒 三冠受賞酒 / 大吟醸 純米仕込み / 冷やおろし 生詰原酒
    さすがに旨い。旨味濃く、綺麗、華やか。 三冠受賞酒は香りと味が巧みにコントロールされたど派手な吟醸酒の印象。大吟醸はもっと素朴に米の旨味、甘さが優しい酒。私の好みは三冠受賞酒より大吟醸 純米仕込みであった。仕込み水は中硬水、喉にペカペカ張り付く。この硬水が酒造りにいいのだろう。

  • 富久鶴 九郎左衛門 純米大吟醸 H13全国新酒鑑評会金賞受賞酒 / 同 純米大吟醸 雅山流 出品酒
    はじめていただく米沢のお酒。石高5〜600万石。まだまだ山形には私の知らないお蔵さんがあるとびっくり。 金賞酒は山田錦のBY13、濃いブドウ、若干の苦味と辛み、味を感じる熟したお酒。純米大吟醸 雅山流は上手なDEWA33。共に独特の風味を感じるお酒だった。注目しておきたい。

  • 会津娘 純米生貯蔵酒 / 純米原酒 / 純米吟醸 ひやおろし/ 純米本生 つるし
    これもこれもと結局すすめられるままに全部試してしまった(^_^; 全部、五百万石なのだとか。生貯蔵はやや乱暴な、ドカーっと来る旨味に熟感。純米原酒は2度火入れで、なめらかに旨い。ひやおろしは、旨味があるもののこの中では比較的さらりとした、熟味を感じるお酒。本生は無濾過の濃さ。私的に、秋の夜長は火入れの原酒をゆっくりやりたい気持ちだ。注目しておこうと思う。

  • 飛露喜 純米吟醸 山田錦+雄町 / 純米吟醸 山田錦+五百万石 / 特別本醸造
    純米吟醸2種類をいただく。共にちょっとこもった上品ではない旨味の出し方に飛露喜を感じるが、去年までとは違う独特の風味がある。あれ? なんだろ。雄町の厚さが入る分、山田錦+雄町はオイリーに感じた。一方、本醸造。旨味がありながら綺麗でキレよし。ううん、やっぱり旨い本醸造。3年追っかけして「迷いではないだろうが、まだまだ変化していくお酒」と感じました。来年の飛露喜はどんな味か楽しみ。
  • 栗駒山 大吟醸 斗瓶取り仕込み12号 / 特別純米酒 無加圧中取り無濾過原酒
    独特の風味が印象的なお酒。 斗瓶取りはまさに、大人しい吟醸香に酸をまとった旨味。それを包む栗駒山風味・・独特の世界を持っているお酒。特別純米は斗瓶取り構成をそのままで、乳酸を思わせる風味が加わる。

  • 乾坤一 純米大吟醸 山田錦
    質実剛健。昔ながらの宮城風のまじめな純米酒のイメージ。酒の輪郭はかっちり、旨味も多いが、色気ははない。

  • 他  八海山 仕込み水 / 佐藤焼酎 天の刻印 原酒

頑張ったつもりでしたが、2時間で回るのはこれがいっぱいいっぱいでした(^_^;
きちんと味わえたのは途中まで。それ以降は時計と勝負で、蔵元さんにも申し訳ない気持ちになってしまいました。
有名なお蔵さんが名を列ねる中、私は「富久鶴」「会津娘」という新しい発見にウキウキ、やっぱりこの会はすごいなと思うのでした。

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